最近電気料金が高いとのニュースがあって、少し前のデータを使った計算ですが、こんなものを作っていたことを思い出しました。

    細かな計算が続きます。結論から知りたい方向けに簡潔に書くと
    2022年5月現在、寒冷地での基本料を含めた同条件の給湯コストは灯油≒電気(ヒートポンプ)<ガスとなります。

    ①先ず最初に電気でお湯を作る、「エコキュート」一般名は「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」と言いますが、電気料を計算してみたいと思います。
    これは、年間給湯保温効率という数値から求められます。細かい解説は今回省きますが、1kwhの消費電力で何kwh分熱量が取り出せるのか、という値とお考え下さい。
    JIS規格のヒートポンプ性能実験により、冬場の給水温度9℃、春・秋の給水温度17℃、夏場の給水温度25℃として試験を行い、年間の平均としてすでに算出された値で、各メーカーが公表しています。
    ここでは、給湯量を仮に400Lとし、寒冷地仕様のエコキュートが2022現在3.8~2.8前後ですので、3.0と仮定します。

    400(L)×25(℃)×1(kcal)=10,000 kcal(kcalは、1Lの水を1℃昇温するのに必要な熱量です)に相当する電力量は、1 kWh=860 kcalとされていますから、
    10,000 kcal÷860 kcal/kWh=11.63kWhしたがって、1日当たりの消費電力は、11.63 kWh÷3.0=3.88kWhとなります。
    令和4年5月現在、中部電力のスマートプランで深夜帯電力を使用した場合、16.3円/kwh、ここに燃料調整費1.64円+再生可能エネルギー発電促進賦課金3.45円を加えて21.39円/kwh
    したがって、3.88×30(日)×21.39=2,490円/月となります。ここに基本料1,487円を加えると3,977円/月となります。

    ②続いて、ガスでお湯を沸かすケースをエコキュートの例に倣って計算してみたいと思いますが、夏、春秋、冬の3パターンを平均しないとエコキュートと同様の計算にならないのでちょっと長くなります。
    (1) 冬場にお湯を沸かすケース
    JISの方法に倣い、水温9℃を42℃まで加熱すると考えます。 400 (ℓ)の水を、42℃-9℃=33℃、加熱するために必要な熱量は、1(L)の水を1℃上げるために必要な熱量は、1kcalですので、

    400(L)×33(℃)×1(kcal)=13,200 kcalの熱量が必要になります。プロパンガスの熱量は、24,000kcal/m3 ですので、400(L)の水を沸かすために必要なプロパンガスの体積量は、

    13,200÷24,000=0.55m3となり、0.55 m3 のプロパンガスが給湯のために使われます。エコジョーズ給湯器を使えば、効率が95%になりますので、

    0.55÷0.95=0.58m3の使用量となります。プロパンガスの単価を658.8円/m3 としますと、1ヶ月に給湯のために掛かる経費は、0.58m3×30日=17.4m3×658.8円=11,463円

    (2) 春・秋にお湯を沸かすケース
    前提として、水温17℃を42℃まで加熱すると考えます。
    冬場と同様に計算します。

    400(L)×25(℃)×1(kcal)=10,000 kcal
    10,000÷24,000=0.42 m3
    0.42÷0.95=0.44m3

    0.44m3×30日=13.2m3×658.8円=8,696円

    (3) 夏場にお湯を沸かすケース
    前提として、水温25℃を42℃まで加熱すると考えます。
    冬場と同様に計算します。

    400(L)×17(℃)×1(kcal)=6,800 kcal
    6,800÷24,000=0.28m3 0.28÷0.95=0.29m3

    0.29m3×30日=8.7m3×658.8円=5,731円

    (4) 1年を通した金額と平均
    これまでの計算結果から、1年の総計と平均を出してみましょう。
    1年あたりのプロパンガス料金は、令和4年2月の長野県のプロパンガス平均価格としました。これは、基本料金平均1,827円、10m3単価6,588円です。(参考:石油情報センター発表値)

    基本料金1,827円×12ヶ月=21,924円

    冬場月間使用量 17.4m3×3ヶ月=52.2m3
    春秋月間使用量 13.2m3×6ヶ月=79.2m3
    夏場月間使用量 8.7m3×3ヶ月=26.1m3
    年間合計使用量 157.5m3
    11,463円×冬3ヶ月+8,696円×春秋6ヶ月+5,731円×夏3ヶ月=103,758円

    基本料金21,924円+使用料金103,758円=125,682円

    1年あたりのプロパンガス料金の月平均=125,682円÷12ヶ月≒10,474円

    ③最後に灯油での給湯を目安ですが計算します。

    灯油の熱量は、1リットル当たり、8,843kcal です。また、灯油の価格は、基本料金はなく、長野県の令和4年5月平均配達価格は、18 ℓ当たり2,192円で、単価は1 ℓ当たり121.7円です。(石油情報センター)

    (1) 冬場にお湯を沸かすケース
    水温9℃を42℃まで加熱するために必要な熱量は、14,850 kcalですので、400(L)の水を沸かすために必要な灯油の量は、13,200÷8,843=1.49 L
    となり、さらにエコフィール給湯器を使えば、効率が95%になり、1.49÷0.95=1.57Lの使用量となります。したがって、1ヶ月に給湯のために掛かる灯油の経費は

    1.57 (L)×30日=47.1(ℓ)×121.7円=5,532円

    (2) 春・秋にお湯を沸かすケース
    10,000 kcal÷8,843=1.13(L)÷0.95=1.19(L)×30日=35.7(L)×121.7円=4,345円

    (3) 夏場にお湯を沸かすケース
    6,800 kcal÷8,843=0.76(L)÷0.95=0.8(L)×30日=24(ℓ)×121.7円=2,921円

    (4) 1年平均
    年額では、5,532円×冬3ヶ月+4,345円×春秋6ヶ月+2,921円×夏3ヶ月=42,885円
    です。1年平均では、

    42,885円÷12=3,574円となります。

    こうしてみると、LPガスが非常に高額に感じますよね。でも、続きの投稿も見てもらえるとうれしいです。